Narah #1 「大公園(ソウルランド)」

 

 列車はわたしを未知なる地へといざなう。

 

 車窓には茶色い土の色と、かすかに高層マンション街が見える。反対側を見れば高速道路を逆向きに車が走っていく。

 

 時たま見える看板には四角と丸、そして線で書かれた文章がまるで踊るかのように記されていた。

 

 わたしは今、韓国の仁川国際空港からソウルへと向かう列車の中だ。

わたしにとって初めての海外旅行。なんでこの地を踏んだかといえば、韓国ドラマにはまり、この地に憧れたからだ。ちなみに初めて見たドラマは確か「イ・サン」だったように思う。それから何本も見てきた。

 

 わたしの今回の旅行の目的はロケ地巡りだ。2泊3日の日程で弘大、新村などを見てまわる。ホテルは安国というところに取った。旅行会社で探してもらったソウルで一番安いホテルだ。それでもわたしのお財布にはなかなか痛かった。アルバイトでコツコツ貯めたお金もすべて航空券やらホテルやらであっという間になくなった。だから観光地の入場料や交通費はいくらかかるかわからないことが不安だった。でもいろんなところを見て回りたい気持ちもいっぱいあった。だからなんとも言えずもどかしかった。

 

 それに言葉も問題だった。「アンニョンハセヨ」と韓国語の挨拶くらいはできるが、知っているフレーズはそれだけだ。ハングルも記号にしか思えない。NHKのハングル講座も見ていた時期があるが、パッチムやらリエゾンやらといった難しい言葉が出てきてあきらめたことがある。それでも韓国愛が冷めなかったのは不思議だ。

 とにかく仁川空港について見た大きく書かれたハングルを見るたびに唾をのむような感じだった。空港鉄道は駅につくたびに駅の名前を日本語と英語で放送してくれるのでありがたかったが、ソウル駅から先、安国に行くまでの間の乗り換えなどがうまくできるか自信がなかった。

 

 そんな思いを巡らせているうちに車内アナウンスは列車がソウル駅についたことを知らせた。

 

 紺色の1と書かれたマークを探せばいいらしいことはコネストで調べた。

改札を出てから紺色の1というマークを追って何台もムービングウォークに乗る。

しかしいつまでも続く乗り換え通路を歩いていくにつれ、さらに不安が募ってきた。

どこまでも続く暗い明るみを歩いているような感じだった。

 

 その分何とかして地下鉄1号線の改札を見つけた時は本当にうれしかった。これに乗って、鍾路3街という駅で一度オレンジ色の3号線に乗り換えれば目的の安国駅だ。

 

 それにしても周りを見渡してみると何とも賑やかで、でも肩が重くなるような感じがする。改札機にカードをタッチする音、電車が入ってくるときに聞こえてくるメロディ…。そして少し薄暗い構内、周りを見れば軍服を着た若い人、列車案内のモニターに時折映し出される太極旗。なんだか不思議な、そしてとてつもなく強い人々の活気と、だけどもどこか重苦しい空気がそこにはあった。わたしが日本人だからであろうか。それとも戦争のにおいだろうか。どこか落ち着かなかった。そうして日本最大の都市、東京から来たのに田舎から上がってきたおのぼりさんの如くきょろきょろしていると、いきなり音がフェードアウトする。そしてどこかから声が聞こえた。しかしそれは確実にわたしのわかる言葉だった。

 

「自分を信じ、愛するんだ。それが人の為さ。」

 

まるで語りかけるかのような、優しく、そして涼やかな少女の声だった。

ふと振り返る。

しかしその声の主はいなかった。

わたしの心の波はさらに大きくなった。

 

 とにかく1号線の列車に乗ろう。鍾路3街駅で乗り換えればいい。

そう思って1と書かれた数字にしたがってホームに降りる。

 

 ただ英語の表記も日本とシステムが違うらしく、どう読んだらわからない。

とりあえず「自分を信じて」勘を信じてみる。

 

 発車すると音楽が流れ、そして電源が切れた。

少しおどろいてしまった。電源が切れた車内は空調も止まり、電車のモーターの音も一瞬だが静かになった。急な出来事に不安はつい閾値を超えそうになる。すると大荷物ときょろきょろしている様子で観光客だとわかったのか、隣の人が大丈夫です、と教えてくれた。

 

 その人はわたしと同じくらいの女の子だった。

「二ホンから来たんですか。」

「あ、ええ…。」

「わたしも学校で日本語を勉強してるんです。」

 

 なんだかとても嬉しかった。日本語を勉強してくれる外国人に話しかけられたことの喜びだろうか。あるいは不安の森の中で案内看板を見つけたような喜びだろうか。とにかくうれしかった。

 

 片言の英語と日本語のミックスでしゃべる、おぼろげに繫がる言葉と言葉。

それがなんだかとっても心地よかった。

「わたしの名前はソ・ラキです。」

わたしも自己紹介をする。

「白兎いなばです。」

イナバさん、といいつつメモ帳に記していた。

 

 列車はどんどんと進んでいく。

 

 聞き上手なラキはいろんなことに興味を持ってくれる。

それに乗ってわたしもしゃべり続ける。

「ところでイナバはどこまで行くんですか?」

「安国、ってとこなんですけど、なんだか着かなくて不安です…。」

 

 ラキの顔が少し青ざめていくのをわたしは見逃さなかった。

 

 わたしは嫌な予感がした。

自分を信じたことがもしかしたら馬鹿を見ることにつながったのではないか…。

さっきのおじさんの言葉に惑わされてしまったのではないか…。

嫌な予感がした。そしてその予感は案の定、逆方向の電車に乗っていることで知ることができた。

わたしは天地がひっくり返るような思いだった。

 

 ラキは路線図を見せてくれた。

「次の駅が衿井駅です。そこで4号線に乗り換えればいいです。」

ずいぶん話し込んだようだった。4号線でソウル駅に戻るにしてもかなりの駅数がある。

一瞬気が遠のいた。

「案内しますか?」

 一人で帰るのは寂しいし、不安だろう。きっとそう察してくれたのだろう。

「お願いします。」

 

 わたしは異国の地で出会った人と友達になれたことが嬉しかった。日本にはほとんど友達がおらず、寂しい思いをしていたが、この国では友達がたくさん作れそうだ。そう思えた。

 

 そんなことを考えつつラキとの話を楽しんでいるうちに、わたしたちは無事、安国駅にたどり着いた。

 

 日本語、英語がちゃんぽんになった言葉で彼女はいろんなことを話してくれた。

しかしわたしはラキの話に悲しさを覚えた。

 

 何をしても就職はできず、社会は乱れ、そして人を虐げる。

そんな社会を一刻も早く出て、平和に暮らしたい、そう言っていた。

日本だって同じだよ、と言ってみたが、彼女の日本へのあこがれはとても強いようだった。ヘイトスピーチどころかヘイトクライムは起こるし、上下関係は厳しいし、お金持ちだけが住みやすい社会だし…。

 

 彼女の自国への感情は、まるで憎悪だった。

しかしその言葉一つ一つに傷と痛みを感じ、わたしは言い返すことができなかった。

 

 わたしも自分の国をいい国だとは思っていない。テレビを回せば「ニホンスゴイ」と外国人に言わせる番組ばかりが流され、独裁は始まりそうだし、それに対抗する野党は無能だし、物はどんどん高くなるし。何よりもずるくてせこい考えをする日本人の性格と、自分の血がけがれた愛国心と過去で満ちている感じがするのがとにかくいやだった。できることならわたしだってそれこそ韓国なりカナダ(かなり暮らしやすいそうだ)に逃れたい。そんなことをラキの言葉を聞きつつ、叫びたかった。そしてその気持ちは今か今かとあふれだすのを待っていた。

「無理してますよね…。お互いに。」

別れ際、一言だけ言葉が漏れた。

ラキはそうでしょう、といってうなだれた。 

 

 わたしをラキは確かに送ってくれた。しかし別れ際にはわたしはラキの背中を蹴り飛ばしたかった。

 

 ホテルにチェックインをしたあとの観光はなんだかいいとこさがしをするかのようだった。

景福宮の華麗な王宮、新村の賑やかさ、弘大の新しい感覚。そのすべてが普段よりも強く感じられた。

その街の1シーン1シーンがわたしを見つめていた。しかしそれでも世界はわたしに微笑みかけてくれなかった。

 

 おまけに空が曇り始めた。曇り始めるとソウルの街は一気に霞んでいくように思えた。

自分を信じたが為にひどい目にあった気がする。そして雨が降り始めた。

 

 気分は暗くなるし、雨には降られるし…と考えるとこみあげてくるものがあった。 

雨宿りをして、こみあげてくるものと雨をやり過ごすことにした。

 

 すると隣に一人、またわたしに話しかけてくれる人がいた。

「やまない雨はないさ。」

 

 とても流ちょうな日本語を話す、やはりわたしと同じくらいの年の少女だった。しかし彼女の着ている服は普通のものではなかった。

簡単に言えば紺色の韓国伝統の服だ。ただチマチョゴリとは少し違っていて、なんていうのかわからなかったが、とても素敵だった。

 

 その彼女は目を閉じると足元に魔法陣が開かれ、天気は一気にカラッと晴れた。

夏の夕方に相応しい、美しい夕日が現れた。わたしはその奇跡に近い何かと、霞とくすみを落としきったかのように輝く街に少し勇気づけられた。

「きみに涙は似合わないさ。」

さっきソウル駅で聞いた声と似ていた。

「もしかしてソウル駅にいましたか?」 

わたしは思わずそう聞いてしまった。

すると彼女はにこりと笑った。

「やはり勇者さまなんだね。」

勇者さま?

わたしは何のことだかわからなかった。しかし彼女はさらに言葉をつなげた。

「ぼくたちはきみを待っていたんだ。」

すると鐘の音が響く。

そして白と青のツートンカラーの列車が入ってくる。

「ついてきて。」

 

 その少女はわたしの手を掴んで、そして目の前に止まった列車に乗りこんだ

扇風機が回るメラニウム張りの車内。青い向かい合わせのシートが並んでいた。

「ぼくの名前はナムグン・ミル。無理やり引き連れてごめんなさい。」

ミルは立ち上がって丁寧にお辞儀をした。

「なんで引き連れたのですか?」

列車に乗ってから混乱していたわたしの心はついに堰が崩れ、心いっぱいに溜まった気持ちが口を突いて出ていった。

「怒りますよね、いきなりだから。でもぼくたちにはきみがどうしても必要なんです。」

「なぜ!?」

「きみが選ばれたからです。」 

 

 列車はどんどんと速度と高度を増していった。

だんだん街が小さくなっていく。

 

 すると車掌さんがやってきた。

にこにこと人懐っこく話しかけてくるがやはり何を言っているのかわからない。

ミルが翻訳をしてくれる。

「まさか外国の方が勇者さまになるなんて、嬉しいですがちょっと恥ずかしくもあります。ってさ。」

わたしだって意味が分からない。なぜ旅行先でこんな目に合うのだか。

「ありがとうございます。でもなぜわたしなんですか?」

わたしの質問に車掌さんは遠くを見つめて言った。

「それだけ『ナラ』が荒れてしまったってことなんでしょうね。」

ミルもうつむいていた。

「ぼくが非力な成生で…。」

 

 一体全体なんだかわからなかった。

だいたい答えになっているのかどうかもわからなかった。

 

 するとミルはそれでなんですけど、と話を振ってきた。

「ぼくたちは人間と天界の間の、『ナラ』というところに向かっています。簡単に言えば人の心の世界です。昔は豊かな世界があったのですが、今は…。」

ミルは視線を落とした。

「荒れているのですね…。」

わたしは何か鈍い何かで心を突かれたような気分がした。

「荒れているのはぼくたち民族の母、熊の姫がさらわれたからなんです。それはだれのせいでもありません。ただ人々の心の中に@『どろぼう』が入りこんで、熊の姫をさらっていったのです。」

スンボクさんも頷きながら聞いている。

「かつてこの国を治めた檀君はその『どろぼう』に殺され、そして母の熊の姫をさらっていきました。さらにわたしたちの心は『どろぼう』にすっかり踏みつけられ、もはや誰かに頼むしかなくなってしまいました。熊の一族を守る使命を負った龍の末裔たる僕がもっとしっかりしていればこんな…。」

ミルの瞳からは涙がこぼれていた。

「ミル、落ち着いて。」

わたしはただこういうほかなかった。

「ありがとう…。なんだか情けなくて、恥ずかしくて…。」

あどけない少女の顔は涙でぬれていた。

 

 スンボクさんはトイレットペーパーを持ってきてそれを渡すと、ミルはそれで顔をぬぐった。

「勇者に涙は似合わないなんてかっこいいこと言ったけど、ミルも泣き虫なんだね。」

ミルは少し顔を赤らめて

「ぼくだって泣くときは泣くさ。」

と、ちょっとミルは恥ずかしそうに言った。

「それで手伝っていただけますか?」

ミルは遠慮がちに、しかしはっきりとわたしに訊いた。 

 

 わたしは確かに大韓民国という世界は好きだ。

でも日本人たる自分が人を救うことはおこがましくないか。

この国の国民たちの、自らの手で立て直すべきではないのか。

そんな疑問が消えなかった。

わたしが思想の世界に侵入すればきっとまた侵略という悲しい歴史が始まるのではないか。

わたしはなんだか気持ちがもやもやしてきた。

「迷っているみたいですね。侵略なんじゃないか、土足で上がりこんでいくことなんじゃないか、って。」

スンボクさんはわたしの心を見抜いていた。

「ビビンバって日本でも有名ですよね。あれってどうやって食べますか?」

ビビンバとこれがどう関係するっていうのか、わたしには理解できなかった。

「混ぜて…。」

「わたしたちの世界も同じです。天と地、陰陽を混ぜて食べて生きるのです。分断と憎悪は本来のわたしたちではありません。混ざって生きていくのです。」

 天と地、陰と陽など初めて聞くような言葉を言われて少しひるんだ。

「これからの時代、誰がどこの勇者さまになったっておかしくありません。わたしたちの気持ちを取り戻す人が日本だったり、中国から来てもおかしくないんです。」

 

 誰が、どこの勇者になってもおかしくない。

その言葉を聞いてわたしの中のねじがカチリとしまった。

わたしの好きな世界を守りたい。その気持ちは誰であっても持っていいはずだ。

 

  気づいたときには一息ついて、こういっていた。

「わたしでいいなら、わたしがこの世界を救えるのなら、心を尽くしたいと思います。」

 

 するとミルもスンボクさんも口を手でふさいで息をのみ、そして二人は目を合わせて微笑んだ。

「ごめんね、いなば。ぼく、すごくうれしくて。」

スンボクさんもすごく嬉しそうにしていた。

「ありがとう。」

ミルは深く礼をした。そして彼女は魔法を使い、小さな荷物を出してきた。

 

 もし列車を降りることがあればこの小箱を開いて「霊着」なるものを着ていなければたちまち悪霊に取りつかれてしまうそうだ。

 

 少し抵抗がある。

しかし細かく作られた紺色、赤色、黄色の模様が入ったエキゾチックなデザインに思わずひかれてしまった。

 

 わたしはミルから受け取ると、案内された通りに車掌室を借りて小箱を開いてみた。

そして小箱を開いてみる。すると強い光が部屋を満たした。

 

 光がやんだころ、目を開いてみると変化した自分がいた。

赤を基調として白い線が入っている、ミルが来ていた服のような、韓国伝統の服であろう服を着ていた。

 

 うん、なかなかおしゃれだ。最後に二つ赤みがかった羽根飾りのついた帽子をかぶってみた。

鏡に映る自分はまるで別人のように見えた。

 

 自席に戻ってミルと車掌さんに見せてみる。

車掌さんは嬉しそうな目をしていた。そしてしきりに「おー」と感心しているのだった。

「似合ってるね。」

ミルも褒めてくれた。わたしの「白兎いなば」という名前になんとなくぴったりくるこの服にちょっと愛着がわいた。

「これを。」

車掌さんも魔法を使い、本と日本刀にも似た剣を出した。

そしてひとつづつそれをわたしてくれた。

ミルが説明してくれる。

「『純友誼冊(スヌイチェク)』だね。これを持っているとどんな人でも言葉が通じるようになるんだ。」

試しに本を開いてみた。

中身はHTMLのような、ハングルとも違った文章が目に飛び込んできた。

「どうかな?いまぼくウリマルで話しているんだけど、わかる?」

 

 なにを言っているのかが手を取るようにわかった。そして列車の中に書いてある文字すべても静止しているかの様に読むことができた。

車掌さんの名前はキム・スンボクさん。

座席の頭の部分に書いてある広告はわたしの人生、祖国と民族の為に。

なんだかあまりに不思議なことが起こりすぎて、訳が分からないという感情を振り切り、逆に楽しくなった。

「どういうことなんですか、これ!」

ついつい興奮してしまう。わたしははしゃぐことを抑えることができなかった。

「熊の姫が作られた、万が一のための辞書です。本当はこの辞書をお渡しすることはあってほしくなかったのですが…。」

スンボクさんは非常に悲しそうにしていた。

「まぁ。今は嘆いても仕方がないのですけどね。」

スンボクさんはそういって苦笑いした。

「そしてこの剣ですが、雷を操れる剣です。名前は『白兎(ベクト)』。」

「白兎!」

「この剣があなたを選びました。名前も白兎ですし、ぴったりですね。」

すこしさやから抜いてみる。

するとまさしく白兎、といった具合に輝く剣が見えた。

あまりに面白くてカチャカチャと出したり仕舞ったりした。

その様子をミルとスンボクさんは楽しそうに見ていた。

「早速でもうしわけないんだけど、一つ頼んでいいかな。」

ミルはちょっと気まずそうに聞いてきた。

「ぼくは先回りして『どろぼう』と戦ってくるつもりなんだけど、この小包をソウルランドの観覧車のおじさんに渡してきてもらってもいいかな。」

「お別れってこと?」

「まぁ、ちょっとの間そうなっちゃうね。でもあまり遠くには行かないし、ぼくの眼にはきみと、そしてまだ知らない誰かとまた会えるような気がするんだ。」

少し悲しいというよりも見知らぬ街を歩く恐怖が心の中に沸いてきたが、一度勇者になるといった手前、引き返すわけにはいかない。

納得するしかないように思えた。

わたしはうん、といって頷いた。

「いなばさんはとても強い勇者さまだ。どこへだっていけるはずさ。」

そうミルは言ってくれたが、内心不安でしかなかった。

いつしか列車はトンネルに入ったようだった。

「もうすぐ着きますよ。一番先方のお宅に近いところに止めますね。」

 

 列車はプラットフォームに音も衝撃もなく止まった。

「着きましたよ。」

スンボクさんはそう教えてくれた。

「勇者さま、頑張ってくださいね。」

「気をつけてね。待ってるから。」

降り立つ前にそう、二人は見送ってくれた。

わたしは無い勇気をふり絞ってプラットフォームに一歩を踏み出した。

わたしのソウルの旅はこうして始まった。

 

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